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市販薬を上手に使おう!便秘解消に有効な下剤について

執筆者: 中野裕貴(薬剤師)
[記事公開日] 2023-10-03 [最終更新日] 2023-10-03
日本の便秘有訴者数は450万人いると推定されています。
割合は女性の方が多く、また高齢者の方がその数は多いとされています。
たかが便秘と甘く見られがちですが、放置することによって私たちの体に様々な悪影響をもたらします。
今回は、そんな便秘についての解消法として、日常的にできることと下剤について解説していきます。
[ 目次 ]
市販薬を上手に使おう!便秘解消に有効な下剤について

便秘とは

慢性便秘症診療ガイドライン2017では、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

「便秘症」の診断基準
 以下の6項目のうち、2項目以上を満たす。

a. 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある。
b. 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便、または硬便である。
c. 排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる。
d. 排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉そく感や排便困難感がある。
e. 排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便解除が必要である。
f. 排便回数が、週に3回未満である。
【厚生労働省e-ヘルスネットHPより引用】

上記に当てはまる場合は医学的に便秘症であると診断されます。
市販薬を上手に使おう!便秘解消に有効な下剤について

便秘の原因

便秘の原因には一次性と二次性があります。
一次性とは主に生活習慣の乱れによって引き起こされるものです。二次性とは何らかの疾患によるもの、内服している薬剤によるものなどが該当します。

【一次性】
・水分摂取不足
・運動不足
・食生活の乱れ(食物繊維不足など)
・睡眠不足
・ストレスなど

【二次性】
・がん
・糖尿病
・腸閉塞
・薬剤性など

便秘による悪影響

腸は体にとって非常に重要な役割を持っています。
その機能が低下することで様々な悪影響が出ますのでたかが便秘と侮ってはいけません。

・免疫力低下
腸管には多くの免疫細胞が存在しており、体にとって重要な免疫機構を司っています。
便秘によって腸の機能が低下してしまうと病原菌に対して防御力が弱まってしまい、感染症のリスクが高まります。

・メンタルダウン
腸管には免疫機能維持以外にも精神面を安定化させる働きがあります。腸管では幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の合成量が圧倒的に多く、セロトニンの産生が低下することでメンタル不調を起こす可能性があります。

・腹部膨満感(苦しい)
これは単純におなかに便が溜まることで苦しくなります。それにより胃が圧迫されて食欲が減退し、栄養不足、食物繊維摂取量低下が生じ、さらに便秘が悪化する。

・切れ痔
長く留まった便は水分が抜けて硬くなり排便時に直腸や肛門にダメージを与えます。排便時に痛いから排便したくない→便秘になる→さらに痛いから排便したくないと負のループに入ってしまいます。

すぐにできる便秘対策

多くの場合は一次性であり、生活習慣の改善によって解消できるケースがほとんどです。
ですが、腸管の蠕動運動が低下している場合は、生活習慣の改善に加えて適宜下剤を併用することで排便をコントロールすることが大切です。

【生活習慣の改善】
・水分摂取を意識する
→持病などで水分摂取制限を受けていなければ、1日に1.5~2Lの水分摂取が望ましいとされています。
水分を摂取することによって腸管内の水分量が増加し、便の水分が増え柔らかくなります。
さらに、水分によって腸管壁が刺激されて腸の蠕動運動が促進され、排便が促されます。

・食物繊維の摂取を意識する
→野菜や海藻、きのこなど食物繊維が豊富な食材を摂取することで便の水分含有量増加が図れるとともに、食物繊維自体が腸を刺激し蠕動運動を促します。

・適度な運動
→運動することによって自律神経が整い、腸の運動を促進する副交感神経の働きが強くなることで便秘解消が期待できます。また、腸管周辺の筋肉の緊張が和らぐことで腸の動きがよくなると考えられます。

手軽に購入できる市販の下剤

市販薬の下剤には大きく分けて塩類性下剤と刺激性下剤があります。

・塩類性下剤
酸化マグネシウムを主成分とした下剤です。
浸透圧を利用して腸管内に水分を引き込み、便の水分含有量を増加させ排便を促します。常用してもクセになりにくく、安全性も高いのでおすすめの下剤です。
便が硬く、出しにくいタイプの便秘の方におすすめです。

・刺激性下剤(内服)
ピコスルファート、ビサコジル、センノシドなどが主成分とされている下剤です。
腸管細胞を刺激することで腸の蠕動運動を促進し排便を促します。連用することでクセになりやすく、内服を止めると便が出なくなる恐れがあります。
便は出ているけどすべて出しきれない、すっきりしない方におすすめです。常用ではなく、便が出ないことを自覚したときに頓服することでクセになるのを避けることができます。

・刺激性下剤(浣腸)
グリセリンを主成分とした下剤です。肛門から注入することで便の滑りを改善し排便を促すお薬です。どうしても出ないときに使用することをおすすめします。
市販薬を上手に使おう!便秘解消に有効な下剤について

まとめ

市販薬の進化は目覚ましく、上手に使うことで便秘をコントロールすることができます。
どのタイプの下剤を使えばよいかわからない方は、薬局やドラックストアの薬剤師に相談してみてください。
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