胃がんのリスクを下げよう!ピロリ菌の検査と除菌について
執筆者: 永田健(消化器内科医)
[記事公開日] 2023-03-06 [最終更新日] 2024-03-06
ピロリ菌は胃がん発症に大きく関与すると考えられており、ピロリ菌に感染している場合は除菌治療が強く推奨されています。
しかし、ピロリ菌に感染していても症状に乏しい場合がおおく、胃がんを発症してからピロリ菌感染が発覚する場合も…。
きちんと調べれば避けられるリスクなのに、避けないのはもったいないですよね。
今回は、ピロリ菌とその検査・治療方法について解説します。
自分が感染しているかどうかを確認し、将来の胃がん発症リスクに備えましょう!
[ 目次 ]
ピロリ菌とは
ピロリ菌とは正式な名前を「ヘリコバクター・ピロリ」といい、胃の粘膜に生息するらせん型をした細菌です。たった40年ほど前にはじめて報告された細菌で、現在までさまざまな研究によって胃の病気との関連が報告されてきました。
本来、胃の中は強力な胃酸があるため、細菌は生息できません。
しかし、ピロリ菌は特殊な酵素をまとうことで胃に生息することが可能で、長期間にわたって胃に炎症を起こし続けます。この状態をピロリ感染胃炎といい、これが胃がんのリスクとなります。
そのほかにも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となり、また胃MALTリンパ腫や特発性血小板減少性紫斑病など特殊な病気にも関連しています。
本来、胃の中は強力な胃酸があるため、細菌は生息できません。
しかし、ピロリ菌は特殊な酵素をまとうことで胃に生息することが可能で、長期間にわたって胃に炎症を起こし続けます。この状態をピロリ感染胃炎といい、これが胃がんのリスクとなります。
そのほかにも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となり、また胃MALTリンパ腫や特発性血小板減少性紫斑病など特殊な病気にも関連しています。
胃がんとピロリ菌の関係
胃がん発症にピロリ菌は密接に関係しています。
日本人の調査では、ピロリ菌感染者は非感染者と比べると胃がん発生率が3倍も高いことが報告されています。
3倍と聞くとかなりインパクトがありますよね。
また、ほかの研究では、ピロリ菌を除菌することで胃がんのあらたな発症が1/3に減ったと報告されています。
これらをもとに、世界的にも「ピロリ菌を除菌することは胃がんを予防できる」と認められており、ピロリ除菌治療がつよく推奨されています。
日本人の調査では、ピロリ菌感染者は非感染者と比べると胃がん発生率が3倍も高いことが報告されています。
3倍と聞くとかなりインパクトがありますよね。
また、ほかの研究では、ピロリ菌を除菌することで胃がんのあらたな発症が1/3に減ったと報告されています。
これらをもとに、世界的にも「ピロリ菌を除菌することは胃がんを予防できる」と認められており、ピロリ除菌治療がつよく推奨されています。
ピロリ菌はどこからうつる?
ピロリ菌は主に口から感染すると考えられています。
日本においては、まだ上下水道が十分普及していなかった世代の人々が、汚染された水を摂取することで感染したと考えられています。
そしてその下の世代は、感染者との食事を介して感染していく、という流れです。
なので、もしご両親がピロリ菌に感染している場合は、もしかしたらご自身も感染しているかもしれません。いちど確認してみてください。
現代日本のように、上下水道が整備された時代に新たにピロリ菌に感染する可能性は低いと考えられています。実際に若年層のピロリ菌感染率は、高齢者と比較しきわめて低くなっています。
発展途上国で長期間生活するような特殊な事情がなければ、感染の心配は低いでしょう。
日本においては、まだ上下水道が十分普及していなかった世代の人々が、汚染された水を摂取することで感染したと考えられています。
そしてその下の世代は、感染者との食事を介して感染していく、という流れです。
なので、もしご両親がピロリ菌に感染している場合は、もしかしたらご自身も感染しているかもしれません。いちど確認してみてください。
現代日本のように、上下水道が整備された時代に新たにピロリ菌に感染する可能性は低いと考えられています。実際に若年層のピロリ菌感染率は、高齢者と比較しきわめて低くなっています。
発展途上国で長期間生活するような特殊な事情がなければ、感染の心配は低いでしょう。
ピロリ菌の検査の種類と費用
2013年からすべてのピロリ菌除菌治療は保険診療が認められています。
ただし、保険診療上は①内視鏡検査でピロリ菌感染を疑う②ピロリ菌検査を行い診断する③ピロリ菌除菌治療をする、この順で行う必要があり
これ以外の診療はすべて「自費診療」となるので注意が必要です。
では具体的な検査方法を紹介しますね
・内視鏡を使った検査方法
①迅速ウレアーゼ試験
採取した組織から、ピロリ菌がもつ酵素から作り出すアンモニアを検出し、ピロリ菌を確認する。
②培養法
採取した組織を用いて培養し、ピロリ菌の有無を判定する。
②検鏡法
採取した組織を染色して、顕微鏡で実際にピロリ菌の有無を確認する。
※いずれも組織を採取するため、胃への侵襲を伴います。
・内視鏡を使わない検査方法
①尿素呼気法
検査専用の薬を飲み、一定時間経過した後、吐き出した呼気を調べ、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる。簡便かつ精度も高い。
②血性抗体測定
血液や尿中を採取して、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べることで、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる。
③便中抗原測定
便を採取してピロリ菌抗原の有無を調べることで、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる。
※単一の検査では、検査擬陽性・偽陰性の可能性があり、複数検査での判定が推奨される
保険診療で行う場合は、検査のみで約5000円~6000円
自費診療で行う場合は、約10000円~12000円
※費用に関しては、施設ごとに採用されている前処置薬(局所麻酔薬など)の違いによって料金に差がある
内視鏡検査にかかる費用負担が大きいですが、「胃炎」など保険病名がつけば保険診療となる場合がほとんどです。おおむね6000円前後の費用負担と考えておきましょう。
ただし、保険診療上は①内視鏡検査でピロリ菌感染を疑う②ピロリ菌検査を行い診断する③ピロリ菌除菌治療をする、この順で行う必要があり
これ以外の診療はすべて「自費診療」となるので注意が必要です。
では具体的な検査方法を紹介しますね
・内視鏡を使った検査方法
①迅速ウレアーゼ試験
採取した組織から、ピロリ菌がもつ酵素から作り出すアンモニアを検出し、ピロリ菌を確認する。
②培養法
採取した組織を用いて培養し、ピロリ菌の有無を判定する。
②検鏡法
採取した組織を染色して、顕微鏡で実際にピロリ菌の有無を確認する。
※いずれも組織を採取するため、胃への侵襲を伴います。
・内視鏡を使わない検査方法
①尿素呼気法
検査専用の薬を飲み、一定時間経過した後、吐き出した呼気を調べ、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる。簡便かつ精度も高い。
②血性抗体測定
血液や尿中を採取して、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べることで、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる。
③便中抗原測定
便を採取してピロリ菌抗原の有無を調べることで、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる。
※単一の検査では、検査擬陽性・偽陰性の可能性があり、複数検査での判定が推奨される
保険診療で行う場合は、検査のみで約5000円~6000円
自費診療で行う場合は、約10000円~12000円
※費用に関しては、施設ごとに採用されている前処置薬(局所麻酔薬など)の違いによって料金に差がある
内視鏡検査にかかる費用負担が大きいですが、「胃炎」など保険病名がつけば保険診療となる場合がほとんどです。おおむね6000円前後の費用負担と考えておきましょう。
ピロリ菌の除菌治療と費用
ピロリ菌の治療は1週間お薬の内服をするだけです。
1種類の胃薬と、2種類の抗生剤の計3種類を、朝夕一日2回、1週間内服します。
すべての治療が終了してから4週間以上(実際には8週程度)経過してから、除菌が完了したかどうか、もう一度検査する必要があります。
初回の治療を一次治療、2回目を二次治療とよび、これらは保険適応です。
三次治療までありますが、3回目は自費診療となります。
費用は保険診療で約2000円、自費では約5000円程度です。
一次治療の成功率は70%程度ですが、近年、強力な胃薬の登場で90%程度まで上昇しています。
除菌治療に関しては注意点があります。
まずお薬は必ず1週間きめられた用法通りに内服してください。
途中で内服をやめたり、間隔をあけてしまったりすると除菌成功率が下がってしまいます。
また副作用として、皮疹や吐き気などのアレルギー症状には注意が必要です。
もし飲み始めて、そういった症状があらわれた場合はすぐに処方もとの医療機関に相談しましょう。
1種類の胃薬と、2種類の抗生剤の計3種類を、朝夕一日2回、1週間内服します。
すべての治療が終了してから4週間以上(実際には8週程度)経過してから、除菌が完了したかどうか、もう一度検査する必要があります。
初回の治療を一次治療、2回目を二次治療とよび、これらは保険適応です。
三次治療までありますが、3回目は自費診療となります。
費用は保険診療で約2000円、自費では約5000円程度です。
一次治療の成功率は70%程度ですが、近年、強力な胃薬の登場で90%程度まで上昇しています。
除菌治療に関しては注意点があります。
まずお薬は必ず1週間きめられた用法通りに内服してください。
途中で内服をやめたり、間隔をあけてしまったりすると除菌成功率が下がってしまいます。
また副作用として、皮疹や吐き気などのアレルギー症状には注意が必要です。
もし飲み始めて、そういった症状があらわれた場合はすぐに処方もとの医療機関に相談しましょう。
まとめ
ピロリ菌感染率は除菌治療の普及により近年低下傾向です。しかし胃がんの罹患率はいまだ高く、ピロリ菌感染に気付いていない人々はまだまだ多いと思われます。
自分はどうなのか、正しく評価し将来の胃がんのリスクに備えましょう。
自分はどうなのか、正しく評価し将来の胃がんのリスクに備えましょう。