症状がなくてもキケン!脂肪肝の改善方法とは。について
執筆者: 永田健(消化器内科医)
[記事公開日] 2023-03-20 [最終更新日] 2023-03-20
「いつものことだし、まあいいか」と放っておくと、どんどん肝臓のダメージが蓄積し「肝硬変」という取り返しのつかない状態に進んでしまいます。
おそろしい話ですが、重度の肝硬変になってしまうとあなたの寿命はほぼ決まってしまい、長生きできません。
ではどうすればよいか。
答えは簡単、食事と運動習慣の見直しを、なにより早めに行うことです!
今回は、実はあぶない「脂肪肝」について、そしてこれだけはおさえてほしい具体的な改善方法について解説します。
[ 目次 ]
肝臓はいろんな働きがあり、最も大事な臓器のひとつです!
肝臓は体内最大の臓器で、生命活動に必須となるさまざまな働きを持ちます。食事からエネルギーを生成したり、そのエネルギーを蓄えたり、有害物質を解毒したり、免疫力をコントロールしたり、と多くの役割を担っています。
また肝臓は耐久力が高く、ある程度のダメージは自己回復し、肝臓の細胞同士が代償しあうことで機能を維持しています。
また肝臓は耐久力が高く、ある程度のダメージは自己回復し、肝臓の細胞同士が代償しあうことで機能を維持しています。
脂肪肝とは?
脂肪肝はこの肝臓の細胞に中性脂肪が蓄積してしまった状態をいい、おおくは食べすぎや運動不足による糖質や脂質の取りすぎが原因です。
蓄積した脂肪をきっかけに、持続的に肝臓の細胞で炎症が生じ、肝臓の大事な機能がそこなわれてしまいます。
特に問題となるのが「インスリン抵抗性」の進行です。
インスリンには血糖値を下げる作用と脂肪蓄積作用があり、全身でインスリン抵抗性が進行すると、より多くのインスリンが分泌され、高血糖と内臓脂肪蓄積が進みます。
その結果、脂肪が肝臓に流入し、さらに脂肪肝が進行するという悪循環となります。
蓄積した脂肪をきっかけに、持続的に肝臓の細胞で炎症が生じ、肝臓の大事な機能がそこなわれてしまいます。
特に問題となるのが「インスリン抵抗性」の進行です。
インスリンには血糖値を下げる作用と脂肪蓄積作用があり、全身でインスリン抵抗性が進行すると、より多くのインスリンが分泌され、高血糖と内臓脂肪蓄積が進みます。
その結果、脂肪が肝臓に流入し、さらに脂肪肝が進行するという悪循環となります。
肝臓がんに悪いのはお酒だけじゃない!
ところで「お酒は肝臓に悪い、飲み過ぎると肝臓がんになる」というのは常識ですよね。
しかし近年、お酒を飲まない人の肝機能障害が増加しています。
原因はやはり肥満、内臓脂肪の増加、脂肪肝を背景としたもので、この非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)がおおきな問題となっています。
これはNAFLDが将来的な肝硬変や肝細胞がんのリスクとなるためです。
日本人の肝硬変患者の約15%はNAFLDが原因と報告されており、また肝臓がん患者さんのNAFLD有病率も近年増加傾向にあります。
日本人の健康診断受診者におけるNAFLD罹患率は、男性で約40%、女性で約20%にものぼり、欧米と同等の数字となっています。
今後は「肥満は肝臓に悪い、食べ過ぎると肝臓がんになる」が常識となるでしょう。
しかし近年、お酒を飲まない人の肝機能障害が増加しています。
原因はやはり肥満、内臓脂肪の増加、脂肪肝を背景としたもので、この非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)がおおきな問題となっています。
これはNAFLDが将来的な肝硬変や肝細胞がんのリスクとなるためです。
日本人の肝硬変患者の約15%はNAFLDが原因と報告されており、また肝臓がん患者さんのNAFLD有病率も近年増加傾向にあります。
日本人の健康診断受診者におけるNAFLD罹患率は、男性で約40%、女性で約20%にものぼり、欧米と同等の数字となっています。
今後は「肥満は肝臓に悪い、食べ過ぎると肝臓がんになる」が常識となるでしょう。
脂肪肝に症状はほとんどありません。健康診断をきっかけに早期発見しましょう!
自覚症状で脂肪肝に気がつくことはまれです。
脂肪肝の診断には、健康診断や人間ドックなどの採血検査がきっかけになります。
AST/ALTやγ―GTP上昇を指摘され診断されることが多いです。これらの異常があれば、医療機関を受診し医師の診察を受けましょう。
肝障害をきたすほかの原因(B型肝炎・C型肝炎などのウイルス、薬剤性、アルコール性など)がないか、問診や追加採血検査で調べます。
そして腹部超音波検査やCT検査などの画像検査をすることで、実際に肝臓に脂肪が付着しているかを確認します。
脂肪肝の診断には、健康診断や人間ドックなどの採血検査がきっかけになります。
AST/ALTやγ―GTP上昇を指摘され診断されることが多いです。これらの異常があれば、医療機関を受診し医師の診察を受けましょう。
肝障害をきたすほかの原因(B型肝炎・C型肝炎などのウイルス、薬剤性、アルコール性など)がないか、問診や追加採血検査で調べます。
そして腹部超音波検査やCT検査などの画像検査をすることで、実際に肝臓に脂肪が付着しているかを確認します。
脂肪肝を治す方法は生活習慣の見直しが基本です!
脂肪肝には、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症を伴う場合がおおく、治療法はシンプルに生活習慣の改善です。
肝臓は耐久力が高くある程度のダメージからは回復できますが、肝硬変にまで進行してしまうと元には戻らなくなるため、脂肪肝のみの段階で早めに治療を開始することが重要です。
肝臓は耐久力が高くある程度のダメージからは回復できますが、肝硬変にまで進行してしまうと元には戻らなくなるため、脂肪肝のみの段階で早めに治療を開始することが重要です。
脂肪肝の改善は食事療法から。
脂肪肝の患者さんの食事内容の特徴は、果糖やショ糖、飽和脂肪酸、コレステロールの過剰摂取によるカロリーオーバーと、不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミンC・Eの不足と報告されています。
悪い食事内容の具体例は、ジュースやお菓子、脂の多い肉類、バターやチーズなど乳製品のとりすぎです。これらの食べすぎが体に悪いのはかんたんに想像が付くと思います。
これらの食べ過ぎをさけて、糖質は主に白米や玄米から、脂質は不飽和脂肪酸を多く含むナッツ類や青魚から、食物繊維とビタミンは野菜や海藻類からバランスよく摂取しましょう。
そして肥満(BMI25以上)がある人は、一日の摂取カロリーを標準体重kg×25kcalを目安に設定し、減量を目指しましょう。体重7%減量で、脂肪肝の改善が見込めます。
悪い食事内容の具体例は、ジュースやお菓子、脂の多い肉類、バターやチーズなど乳製品のとりすぎです。これらの食べすぎが体に悪いのはかんたんに想像が付くと思います。
これらの食べ過ぎをさけて、糖質は主に白米や玄米から、脂質は不飽和脂肪酸を多く含むナッツ類や青魚から、食物繊維とビタミンは野菜や海藻類からバランスよく摂取しましょう。
そして肥満(BMI25以上)がある人は、一日の摂取カロリーを標準体重kg×25kcalを目安に設定し、減量を目指しましょう。体重7%減量で、脂肪肝の改善が見込めます。
運動療法でさらなる脂肪肝の改善を。
よく有酸素運動と筋トレなどのレジスタンス運動は、どちらが脂肪肝改善に有効かと質問されます。
結論からいうと、どちらも有効な治療方法です。
具体的には、30分のウォーキングを週に3回、4週間継続することで肝脂肪化が改善することが示されています。
有酸素運動には、体重減少は伴わなくても、インスリン感受性の亢進や、HDLコレステロール、アディポネクチン増加による高脂血症改善などすばらしい効果があります。
慣れてくれば、週250分以上の強度まで上げることで、さらなる改善効果が期待できます。
一方でレジスタンス運動は、より短時間で有酸素運動と同様の脂肪肝改善効果が得られると報告されています。
どちらか自分にあった運動療法を選択し、継続するようにしましょう。
結論からいうと、どちらも有効な治療方法です。
具体的には、30分のウォーキングを週に3回、4週間継続することで肝脂肪化が改善することが示されています。
有酸素運動には、体重減少は伴わなくても、インスリン感受性の亢進や、HDLコレステロール、アディポネクチン増加による高脂血症改善などすばらしい効果があります。
慣れてくれば、週250分以上の強度まで上げることで、さらなる改善効果が期待できます。
一方でレジスタンス運動は、より短時間で有酸素運動と同様の脂肪肝改善効果が得られると報告されています。
どちらか自分にあった運動療法を選択し、継続するようにしましょう。
まとめ
脂肪肝は放置すると肝硬変をはじめ多くの病気の原因となります。特効薬はなく、生活習慣の改善が唯一の治療法です。
ただ生活習慣の改善を実際に実現するのはなかなか難しいものですよね。
ご自身の今と将来の健康に目を向けて、できることからはじめていきましょう。
ただ生活習慣の改善を実際に実現するのはなかなか難しいものですよね。
ご自身の今と将来の健康に目を向けて、できることからはじめていきましょう。