人にうつす前に知っておこう!感染性胃腸炎の正しい治療と予防方法について
執筆者: 永田健(消化器内科医)
[記事公開日] 2024-06-14 [最終更新日] 2024-06-14
[ 目次 ]
感染性胃腸炎ってどんな病気?
感染性腸炎は、ウイルスや細菌が消化管に感染し炎症を起こし、嘔吐や下痢を主な症状とする身近な感染症です。一年通してみられる病気で、特に秋から冬にかけての寒い時期には、ウイルス性の胃腸炎が流行します。
おおくは強い感染力をもつため、学校や職場などの施設で大流行します。みなさんもいちどは感染してつらい経験をしたことがあるのではないでしょうか。
ほとんどは数日で自然に治りますが、まれに脱水症状を引き起こし入院が必要になることがあるため、たかが胃腸炎といって侮ってはいけません。
正しく対応すれば、大事には至りませんし、他人に移すリスクも減らすことができます。
では、正しい感染性胃腸炎の治療方法と予防方法について学んでいきましょう!
おおくは強い感染力をもつため、学校や職場などの施設で大流行します。みなさんもいちどは感染してつらい経験をしたことがあるのではないでしょうか。
ほとんどは数日で自然に治りますが、まれに脱水症状を引き起こし入院が必要になることがあるため、たかが胃腸炎といって侮ってはいけません。
正しく対応すれば、大事には至りませんし、他人に移すリスクも減らすことができます。
では、正しい感染性胃腸炎の治療方法と予防方法について学んでいきましょう!
特に寒い季節に注意!胃腸炎の流行時期とその原因。
感染性胃腸炎は、インフルエンザのつぎに多い感染症です。例年11月ごろから患者数が急増し、12月にピークとなり、その後減少しますが、1月から春にかけて流行する場合もあります。
このような流行の主な原因はウイルスで、おおくはノロウイルスやロタウイルス、ほかにはサポウイルスやアデノウイルスなどが挙げられます。どのウイルスも基本的には口から感染します。嘔吐物や便が直接手を介して口から感染する場合や、汚染された食品を口にすることで感染してしまいます。
なかでももっとも多いのがノロウイルスで、患者数の約半数を占めます。感染力の高さからひとり感染者が出れば、家庭内や施設などではまたたく間に流行してしまうため対策が必須です。
またロタウイルスも原因ウイルスの代表で、国内では小児の年間約80万人が小児科外来を受診し、5歳をむかえるまでに必ずいちどは感染するとされています。頻度は低いものの、年間約10名程度死亡例も報告されています。
もしこの冬から春の時期に胃腸炎を発症した場合は、ノロウイルスかロタウイルスのどちらかに感染したと考えて差し支えないでしょう。
このような流行の主な原因はウイルスで、おおくはノロウイルスやロタウイルス、ほかにはサポウイルスやアデノウイルスなどが挙げられます。どのウイルスも基本的には口から感染します。嘔吐物や便が直接手を介して口から感染する場合や、汚染された食品を口にすることで感染してしまいます。
なかでももっとも多いのがノロウイルスで、患者数の約半数を占めます。感染力の高さからひとり感染者が出れば、家庭内や施設などではまたたく間に流行してしまうため対策が必須です。
またロタウイルスも原因ウイルスの代表で、国内では小児の年間約80万人が小児科外来を受診し、5歳をむかえるまでに必ずいちどは感染するとされています。頻度は低いものの、年間約10名程度死亡例も報告されています。
もしこの冬から春の時期に胃腸炎を発症した場合は、ノロウイルスかロタウイルスのどちらかに感染したと考えて差し支えないでしょう。
つらい「下痢」と「嘔吐」。脱水症状に気を付けて!
感染性胃腸炎の主な症状は、「下痢」「嘔吐」「発熱」「腹痛」です。消化管のうち、小腸がメインの感染であれば「嘔吐」や「吐き気」がおおく、発熱は軽度です。一方で、大腸がメインの感染であれば、体の中で炎症が強く起きてしまい、激しい「下痢」とともに高熱がみられます。
おおくの場合は、数日から1週間で自然に治まりますが、症状が強く、水すら飲めない状態がながく続くと脱水症状をきたしてしまう場合があります。特にこどもやお年寄り、基礎疾患をもつ方では重症化しやすい傾向にあるため、注意が必要です。
脱水症状のサインは、のどの渇きや、尿が出ないこと、皮膚の張りがなくなることなどです。さらに、目のまえがぼんやりしたり、眠くなったりなどの症状があれば、すでに意識障害が出始めている可能性があり、特に危ない状態といえます。
おおくの場合は、数日から1週間で自然に治まりますが、症状が強く、水すら飲めない状態がながく続くと脱水症状をきたしてしまう場合があります。特にこどもやお年寄り、基礎疾患をもつ方では重症化しやすい傾向にあるため、注意が必要です。
脱水症状のサインは、のどの渇きや、尿が出ないこと、皮膚の張りがなくなることなどです。さらに、目のまえがぼんやりしたり、眠くなったりなどの症状があれば、すでに意識障害が出始めている可能性があり、特に危ない状態といえます。
診断のカギは、最近の食事歴と周りの流行状況!
感染性腸炎の診断は、最近の食事の摂取歴や身の回りでの感染状況などから推定されることがほとんどです。症状だけをみて、どのウイルスによるものかは断定できません。
病院を受診する際には、1週間程度さかのぼって、刺し身などの生ものや、生焼けの肉類を食べたかどうか、また保育園や学校、集団生活している施設などで流行がないかどうかもあらかじめ確認しておきましょう。
ノロウイルスやロタウイルスなどウイルス性胃腸炎の診断方法に迅速抗原検査がありますが、こどもや高齢者などハイリスク患者さんの場合のみ保険診療にて受けられます。元気な成人のかたでは、治療方針に影響ないため基本的には検査はしません。もし検査を希望される場合は全額自費負担ですのでご注意くださいね。
病院を受診する際には、1週間程度さかのぼって、刺し身などの生ものや、生焼けの肉類を食べたかどうか、また保育園や学校、集団生活している施設などで流行がないかどうかもあらかじめ確認しておきましょう。
ノロウイルスやロタウイルスなどウイルス性胃腸炎の診断方法に迅速抗原検査がありますが、こどもや高齢者などハイリスク患者さんの場合のみ保険診療にて受けられます。元気な成人のかたでは、治療方針に影響ないため基本的には検査はしません。もし検査を希望される場合は全額自費負担ですのでご注意くださいね。
対症療法が基本!とにかく水分摂取が大事です。
残念ながらウイルス性胃腸炎に治療薬はありません。そのため、症状に対してのみ治療する対症療法が基本です。また細菌性の場合もほとんどが対症療法です。
とにかくこまめな水分摂取が重要で、「腹痛」があれば痛み止めを、くり返す「嘔吐」があれば吐き気止めを使用します。
下痢は、ウイルスを体から排せつする防御反応ですので「下痢止め」は内服してはいけません。そのかわり、失った水分は正しくこまめに補給しましょう。
水分補給には経口補水液がもっともおすすめです。スポーツドリンクやジュース類は糖質が高いため逆に下痢を悪化させる場合があるのでなるべく避けてください。
一定の水分補給ができていれば、食事は1~2日食べられなくても問題はありません。食べられるようになれば、まずは炭水化物・塩分・カリウムを取りやすいメニューから開始しましょう。
具体的には、やはりお粥がおすすめです。お粥には粘性があり、消化管をゆっくり通過してくれます。塩分やカリウムの補給には、みそ汁やコンソメスープが適しています。少量ずつ開始し徐々に増やすようにしてください。
とにかくこまめな水分摂取が重要で、「腹痛」があれば痛み止めを、くり返す「嘔吐」があれば吐き気止めを使用します。
下痢は、ウイルスを体から排せつする防御反応ですので「下痢止め」は内服してはいけません。そのかわり、失った水分は正しくこまめに補給しましょう。
水分補給には経口補水液がもっともおすすめです。スポーツドリンクやジュース類は糖質が高いため逆に下痢を悪化させる場合があるのでなるべく避けてください。
一定の水分補給ができていれば、食事は1~2日食べられなくても問題はありません。食べられるようになれば、まずは炭水化物・塩分・カリウムを取りやすいメニューから開始しましょう。
具体的には、やはりお粥がおすすめです。お粥には粘性があり、消化管をゆっくり通過してくれます。塩分やカリウムの補給には、みそ汁やコンソメスープが適しています。少量ずつ開始し徐々に増やすようにしてください。
予防がいのち!徹底した手洗いと消毒を意識しましょう!
手洗いは、胃腸炎に限らずすべての感染症予防の基本です。外出したあと、トイレに行ったあと、料理や食事のまえ、嘔吐物や排便の処理をおこなったあとは必ず手洗いをしましょう。
中途半端な手洗いでは意味がありません。正しい手洗いの手順を身に付けましょう。
まず事前に爪が短く切ってあるか確認し、指輪や腕時計などは外してください。特に汚れが残りやすい箇所は、指先や爪の間、指の間や親指のまわりです。手首まで洗うことを意識してしっかり手洗いをしましょう。また手洗い後はしっかり水分をふき取ることも大切です。
嘔吐物を処理する場合は、想定より広くウイルスが拡散している点に注意してください。嘔吐物自体から最大2m程度まで広く消毒するようにしましょう。
またノロウイルスに対してはアルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムや加熱による処理が必要になります。吐物が衣類に付着した場合は、次亜塩素酸ナトリウムに30分程度浸すか、85度以上の熱湯に1分以上浸して確実に処理をしてください。
正しい予防法をおこない、二次感染を防ぎましょう。
中途半端な手洗いでは意味がありません。正しい手洗いの手順を身に付けましょう。
まず事前に爪が短く切ってあるか確認し、指輪や腕時計などは外してください。特に汚れが残りやすい箇所は、指先や爪の間、指の間や親指のまわりです。手首まで洗うことを意識してしっかり手洗いをしましょう。また手洗い後はしっかり水分をふき取ることも大切です。
嘔吐物を処理する場合は、想定より広くウイルスが拡散している点に注意してください。嘔吐物自体から最大2m程度まで広く消毒するようにしましょう。
またノロウイルスに対してはアルコールではなく次亜塩素酸ナトリウムや加熱による処理が必要になります。吐物が衣類に付着した場合は、次亜塩素酸ナトリウムに30分程度浸すか、85度以上の熱湯に1分以上浸して確実に処理をしてください。
正しい予防法をおこない、二次感染を防ぎましょう。
まとめ
感染性腸炎は身近な病気ですが、重症化すれば命にかかわる場合もある侮れない病気です。もし感染してしまってもあせらず、正しい治療と予防をおこないましょう。