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その症状、花粉症のせいかも!? 皮膚・口腔のトラブルにご用心!

執筆者: 橘田 絵里香(形成外科医)
[記事公開日] 2024-01-27 [最終更新日] 2024-02-02
花粉症の三大症状はズバリ「くしゃみ」「鼻水、鼻づまり」「目のかゆみ」。ですが意外に知られていない、皮膚や口腔内にも症状が及ぶことがある、ってご存知でした?
なぜかいつもこの時期調子が悪くなるんだよね…という貴方、それは花粉のせいかもしれません…!
[ 目次 ]
その症状、花粉症のせいかも!? 皮膚・口腔のトラブルにご用心!

毎年おなじみ花粉症ーーこんな所の症状まで!?

花粉症の三大症状はズバリ「くしゃみ」「鼻水、鼻づまり」「目のかゆみ」。ですが意外に知られていない、あんなところにまで!? ーー皮膚や口腔内にも症状が及ぶことがある、ってご存知でしたか?
中には三大症状はあまりはっきり出ないのに、皮膚が痒くなる、などという方もいらっしゃいます。

なんかいつもこの時期調子が悪くなるんだよね

…という貴方、それ、花粉が原因かも(!)
今から詳しく解説してまいりましょう。

そのかゆみ、花粉症のせいじゃない?ーー花粉症皮膚炎

花粉症で一番多い「目の痒み」ですが、目の痒みと言いつつ、実はまぶたが痒い方というのが相当数いらっしゃいます。
「目の痒み」は、正確にいうと、眼球の症状と、まぶたの症状に分かれ、眼球に対しては眼科で点眼をいただくわけですが、まぶたの症状については、実は皮膚科の方が治療に詳しかったりするのですよね…。厄介といえば厄介なエリアです。

花粉が皮膚につくことで、皮膚の赤みや赤いプツプツがでたり、なんか皮膚が痒くなったり…。まぶた以外にも、顔全体や、首周りの痒みを訴える方も相当数いらっしゃいます。

対策としては、まずなるべく皮膚についてしまう花粉の量を減らすこと。マスクや眼鏡、帽子などで、皮膚の露出部分を減らすという手段も有効です。が、種類によっては、皮膚とそれらが接触することで、先の花粉症皮膚炎が悪化することもありますので、なるべく付け心地の良いものを選んでください。
外出から帰られたら、ささっとぬるま湯で洗顔するのも良いでしょう。この時洗顔料を使用しすぎてしまうと、お肌のバリア機能を低下させてしまうので、注意が必要です。皮膚はぬるま湯だけでも十分量洗顔できますので。

鼻をかみすぎて鼻の下が赤くなってしまう、というのもありますね。鼻をかむ時はなるべくやわらかいティッシュを使用する、ですとか、ティッシュは「鼻水を受け止めるだけとして、なるべくこすってふき取らない」ように心がけることが大切です。

最近はステロイドが含有されておらず、顔や首に安心して塗ることができる外用薬も出てきています。花粉の飛散量がピークを迎える前に、皮膚科を受診し、症状が悪化した時、いつでもさっと塗ることができるお薬をいただくのもおすすめです。
その症状、花粉症のせいかも!? 皮膚・口腔のトラブルにご用心!

症状は「紙一重」ーーアトピー性皮膚炎と花粉症

花粉症とアトピー性皮膚炎は「兄弟」みたいなもの。同じことが別の臓器で起こった結果、病名が異なっているだけだったりいたしますので、花粉症もアトピー性皮膚炎も持っていらっしゃる方というのは、花粉症の時期にアトピー性皮膚炎も悪化しやすいです。もともと治療していたアトピーがこの時期不安定になる、ですとか、もともとアトピーの症状ははっきり出ないのだけれど、この時期だけは皮膚が痒くなる、という方も。

こうした症状に対しては「スギ花粉が飛び出す1ヶ月前から対策をしておく」のがポイントです。花粉症がコントロールしきれていないと、普段コントロールできていたアトピーの症状が不安定になってしまいますので、アトピーも花粉症も、両方しっかり対策するのが大事です。
最近は暖冬などで、花粉が飛び出す時期が早かったりいたします。場合によっては年内のうちから、きちんと抗アレルギー剤(抗ヒスタミン剤)を飲んでおく、かかりつけの皮膚科医、耳鼻科医、眼科医などと相談して、手持ちの薬は充分準備されているかなどの対策をしっかり立てておく​​、といったアプローチが大事です。
その症状、花粉症のせいかも!? 皮膚・口腔のトラブルにご用心!

口の中まで…!?ーー花粉症がトラブルを引き起こす

鼻呼吸がしづらくなると、自然と口呼吸になり、口の中がカラカラに乾いてしまいます。また、花粉症の内服薬には、唾液の分泌を抑制し、喉が乾くといった副作用を生じるものがあります。口の中が乾燥すると、口腔内の細菌が繁殖しやすくなり、歯周病の原因となる歯垢(=プラーク)が付きやすくなることにより、虫歯や歯周病、口臭などを引き起こします。
花粉症による副鼻腔炎が原因で、歯の痛みを生じることがあります。副鼻腔は上の奥歯の近くにあるため、そこが炎症を起こすと奥歯に圧がかかり、歯根の先が刺激され虫歯のような痛みを生じさせるのです。

こうした症状は、口の中が乾くことが原因で生じているわけですので、なるべく口の中を潤すことです。実は口の中を潤すことで、まだまだ油断できないコロナやインフルエンザ、風邪などの予防にもなりますので、一石二鳥ですね。まずはよく噛んで食べるなど唾液の分泌を促すことです。こまめな水分補給をおこない、口の中が乾燥しないように心がけるのも良いですね。ちなみに「こまめな水分補給」というのは、喉が渇いてから飲む、では足りませんのでご注意くださいね!
マスクの着用も有効です。が、マスクの種類によっては先の花粉症皮膚炎が悪化することもありますので、なるべく付け心地の良いものを選んでください。
加湿空気清浄器の使用もおすすめです。
ただでさえ季節の変わり目は、気温差が激しかったり、環境が変わることで免疫力も低下し、体調を崩しやすくなる傾向があり、口腔内トラブルも多くなる時期です。いつもの「歯の定期健診」、この時期に合わせる、というのもおすすめです。


以上、知っているようで知らない「花粉症による皮膚や口腔内の症状」について、詳しくお届けいたしました。今からでも知っておいた方がよいことばかり。ぜひこの機会にいざという時のことをシミュレーションしておきましょう。
その症状、花粉症のせいかも!? 皮膚・口腔のトラブルにご用心!

早期発見されにくい!膵がん診断の難しさ、注意すべき症状について

執筆者: 岡本 彩那(消化器内科医)
[記事公開日] 2023-05-29 [最終更新日] 2024-02-02
日本では癌(悪性腫瘍)は死因の1位を占めていますが、現在は治療により生存期間を延ばしたり、治癒することも可能な場合が増えてきています。しかしながら、その中でも膵がんでは5年生存率(5年後も生きている確率)はステージにもよりますが半分以下、10%未満とも言われています。早期膵がんであれば助かることも多いのですが、膵がんは早期発見しにくい上に、がん自体も進行が早く、膵がんに気づいたときには既に進行がんとなってしまっていることも多いのです。
今回は何故膵がんが見つけにくいか、早期発見するにはどうすれば良いかなどを解説します。
[ 目次 ]
早期発見されにくい!膵がん診断の難しさ、注意すべき症状について

膵がんは何故見つけにくい?

膵がんは何故見つけにくいのでしょうか。大きな理由の一つとして膵臓の位置が関係してきます。膵臓はや十二指腸(一番はじめの小腸)の裏にある、厚さ1cm程度の薄い横長の臓器です。検診などではお腹のエコー検査を行うことがありますが、膵臓をエコー検査で観察しようとすると胃や腸が邪魔をしてしまい、膵臓全体を見ることが難しくなってしまいます。そのため、膵臓全体を診るためにはCTやMRIなどの画像検査や特殊な内視鏡検査が必要なのですが、通常の健診などではそこまでの検査を行うことは少なく、早期に発見されにくいのです。
また、膵がんは小さなものでも転移などを起こすことがあります。そのため、かなり小さな段階でガンを発見しなければなりませんが、MRIやCT等の画像検査では1cm未満のごくわずかなガンを見つけることはかなり難しいということも一因として考えられます。
早期発見されにくい!膵がん診断の難しさ、注意すべき症状について

膵がんはなんで進行が早い?

膵がんの形の特徴で「厚さ1cm程度の薄い臓器」であるということが、膵がんが早く進行する理由の一つとして挙げられます。他の臓器、例えば胃や腸、肝臓であれば、ある程度の厚みや空間(胃や腸の中の空間)があるため、ガンができたとしてもある程度の大きさになるまではその臓器の中にとどめておくことができます。しかし膵臓の場合、臓器の厚み自体が1cm程度しかないため、ガンが大きくなった場合に臓器の外にはみ出やすく、膵臓周囲の臓器や血管、神経などに及んで巻き込んでしまうのです。また、膵臓がある場所の周りには、身体の中でも大きな神経、血管(大動脈、大静脈)やリンパ節が位置しています。そのため、血管やリンパ節などにガンが及んで巻き込むことで、他の臓器に転移を起こしやすくなってしまいます。
早期発見されにくい!膵がん診断の難しさ、注意すべき症状について

膵がんの症状について

膵がんの症状としては、腹痛、背部痛、黄疸(目や身体が黄色くなる)、便が白くなる、食欲不振やお腹の張りなどが挙げられます。ただし、早期の膵がんでは症状が出ることは少なく、ある程度進行した段階で初めて症状が出ることも多く、気づかないうちに進行していることも多々あります。
また、どの症状が出るかは膵臓のどの位置にがんができるかでも異なります。膵臓は腸に近いところから順に頭部、体部、尾部の3つに分類しますが、頭部と体、尾部では症状が異なります。
膵頭部には胆管(肝臓からの消化液『胆汁』を流す管)が通っているため、膵頭部にがんができ、この管を塞いでしまうと胆汁が流れなくなります。結果として黄疸が出てきたり、便が白くなったりします。また、肝臓からの管を防ぐため、肝機能障害を起こすこともあります。一方で、体と尾の部分のがんでは胆管はありませんので黄疸は出ません。場合によっては膵臓の管を塞ぐことで膵炎を起こす場合もありますが、多くは早期に症状がなく、頭部のガンに比べても見つかりにくいのが特徴です。
早期発見されにくい!膵がん診断の難しさ、注意すべき症状について

膵がんが早く見つかる場合は?

膵がんは発見されたときに進行がんとなっていることが「多い」、ということは、一部の膵がんは早期に発見されるということです。では、膵がんの中でも早期にがんが見つかった人はどのような人でしょうか。
一つは「たまたま」見つかった、というケースです。お腹のCTやMRI等の検査は膵臓の検査以外でも行うことも多く、たまたま他の臓器などの検査を行って、たまたま膵臓が映っていて、膵臓の異常に気づかれることがあります。その際に膵臓の詳細な検査を行い、たまたま膵癌が発見されたというケースです。
そのほか、膵がんのリスクがあった、血液検査の数値が少し気になったため念のため検査を行い、早期の膵がんが見つかったというケースもあります。
一方で、早期ではないものの、腹痛や黄疸などの症状が出たため原因を調べるために検査を行い、いわゆる「早期がん」でないものの、なんとか手術ができる時期に見つかったという場合もあります。

膵がんを早期に発見するためには

膵がんはお腹のエコーだけでは見つかりにくく、膵がんを早期に発見するにはほかの画像検査も必要と述べました。では、全員が全員、健診の度に毎回CTやMRIを行わなければならないかというと、そこまでの検査を全員に行うのは現実的ではありません。ではどうすればいいでしょうか。
膵がんのリスクがある人、少しでも疑いがある人は念のためでも検査を受ける、ということです。
膵がんのリスクとしては、
・慢性膵炎の患者さん
・大量飲酒を行っている人
・喫煙者
・血のつながっている家族に膵がんの患者さんがいる人
・膵臓にのう胞や腫瘍(膵管内乳頭粘液性腫瘍※:IPMNなど)がある人
・突然糖尿病を発症する、急激に悪くなる
・腫瘍マーカーやアミラーゼ(膵臓の酵素)が高い
などが挙げられます。特にIPMNがある人などは、この良性腫瘍からガンが発生することが年1%程度あるため定期的に検査を受けることが望ましいとされています。なお、腫瘍マーカーやアミラーゼは膵がん特有のものではない上に、上がっていなくても膵がんを否定することはできません。
※膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN):膵臓の良性腫瘍、腫瘍の中にガンを作ることがある

まとめ

膵がんは初めのうちは症状がでにくく、また、なかなか検査でも見つかりにくく、気づいたときには進行がんとなっていることが多い病気です。
膵がんで助かるには早期に発見しなければならず、早期発見にはリスクがある、気になることがあるなら一度検査を検討してみることが重要です。
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