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健康長寿は「腸内細菌」!?ーー「適切な腸内環境」に必要な生活習慣

執筆者: 橘田 絵里香(形成外科医)
[記事公開日] 2025-03-31 [最終更新日] 2025-04-08
健康やアンチエイジングに与える影響は非常に大きいとされ、近年ますます注目されてる「腸内細菌」。
腸を健やかに保つためには、食事だけでなく生活習慣全般を整えること、さらには医療現場における抗菌剤の適正使用が重要となってまいります。腸内環境を最適化するための習慣について、食事と食事以外の両面からチェックしてみましょう。
[ 目次 ]
健康長寿は「腸内細菌」!?ーー「適切な腸内環境」に必要な生活習慣

健康長寿と腸内細菌

健康やアンチエイジングに与える影響は非常に大きいとされ、近年ますます注目されてる「腸内細菌」。腸内環境のバランス≒腸内細菌のバランスが崩れることで、免疫力の低下、肌荒れ、肥満、さらにはメンタルヘルスの悪化といった「老化を進める原因」を加速し、さらには特定のがん発症にも関係するのでは?とまで言われています。 
腸を健やかに保つためには、食事だけでなく生活習慣全般を整えること、さらには医療現場における抗菌剤の適正使用が重要です。これから腸内環境を最適化するための習慣について、食事と食事以外の両面から解説してまいります。

1. 食習慣で腸内「善玉菌」を増やす!

(1) 発酵食品
腸内に善玉菌を増やすことがアンチエイジングに欠かせない言われています。そのカギを握るのが発酵食品。発酵食品には乳酸菌やビフィズス菌など腸内で善玉菌として働く微生物が豊富に含まれており、これらの菌を摂取することで、腸内フローラ(腸内細菌のバランス)が整いやすくなるのです。

おすすめの発酵食品
・ヨーグルト(プレーン・無糖がベスト)
・納豆
・味噌・漬物(添加物の少ないもの)
・キムチ(乳酸菌が豊富)
・甘酒(ノンアルコールタイプ)

(2) 食物繊維
もう一つ、大切なのが「食物繊維をしっかり摂る」ということです。
食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やすのに役立つといわれています。

水溶性食物繊維(腸内細菌のエサになり、腸内環境を整える)
・オートミール
・もち麦
・りんご
・バナナ
・こんにゃく
・海藻類(わかめ・ひじき)

不溶性食物繊維(腸のぜん動運動を促進し、便通を改善)
・玄米
・豆類
・ごぼう
・さつまいも
・きのこ類

水溶性と不溶性の両方をバランスよく摂ることが重要と言われていますが、それ以前に、そもそも1日あたり十分量の食物繊維がとれていない、というお話もあります。まずはスマホアプリなどを活用し、食事内容を記録してみていただいて、必要十分量の摂取に心がける、というところから始めてみましょう。

(3) 水分
便の水分量が不足すると、腸の動きが鈍くなり、便秘の原因になります。結果、腸内に悪玉菌を増やすことになってしまいます。従い、腸内環境を整えるにあたって、水分補給は欠かせません。
目安: 1日1~1.5Lの水をこまめに飲む
健康長寿は「腸内細菌」!?ーー「適切な腸内環境」に必要な生活習慣

2. 食事以外で腸内環境を整える生活習慣

(1) 良質な睡眠を確保する
「食事と睡眠」これらは必ずペアで考えるべきものです。睡眠の質の低下は、言うまでもなく、腸内細菌のバランスを崩し、腸の働きを低下させる要因となりえます。ストレスや不規則な睡眠は当然のことながら腸内環境に悪影響を与えます。

良質な睡眠のため、ここだけは押さえる!ポイントはこちらの3つ。
・睡眠2時間前までにぬるめのお風呂に入る(38〜40℃のお湯に10〜15分)
・眠る1時間前にスマホやPCを控える
・毎日同じ時間に寝起きする

(2) 適度な運動を取り入れる
喋ることができる程度の強さで一日合計20分。適度な運動習慣は良質な睡眠につながり、腸の動きを活性化させる効果があります。ヨガやピラティスは腸のぜん動運動を促進し、便秘解消に役立つことも…!

おすすめの運動
・ウォーキング(できれば坂道や階段の上り下りも取り入れて)
・ヨガ・ストレッチ(腸を刺激する「ねじりのポーズ」など)
・軽い筋トレ(スクワットなど)

テキパキと、家事やお部屋のお掃除も運動になりますよ!

まとめて20分取る必要はなく、「合計」で20分になればOKです。どうでしょう、これなら実践できそうではないでしょうか?

(3) ストレスと上手に向き合う
実はストレスは「適度」が◎。溜まりすぎても交感神経が優位になり、腸の働きが低下しますが、「ストレスがなさすぎ」もダメなんです。適度に緊張し、適度にリラックスすることで交感神経・副交感神経がそれぞれ程よく活性化し、腸内環境が整いやすくなります。

(4) 抗生物質の乱用を避ける
かねてから「抗菌剤をもらいに病院に行くことが“安心”」という、日本人特有の心理文化を背景に、「ちょっと喉が痛いから」「風邪っぽいから」と、まるで万能薬のように抗生物質を欲しがることが問題視されています。というのも、抗生物質は腸内の善玉菌・悪玉菌を問わず根こそぎ一掃してしまうのです...! 結果、腸内環境が荒れ放題になり、かえって免疫力が低下することも。やむを得ず服用する場合は、プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌)を併用し、腸のリカバリーを忘れずに行いたいところです。
健康長寿は「腸内細菌」!?ーー「適切な腸内環境」に必要な生活習慣

まずは「ついサボりがち」あの習慣から!

腸内環境を整えるためには、まずは食事と睡眠、その他にも生活習慣上のあらゆる面からアプローチすることが大切であり、24時間の行いすべてが関係してきます。
これらを正すため、実は特にこれといって新しいことを始める、などではなく、今まで「やらなければなあ、と思ってついやり過ごしたこと」にヒントがあることがほとんど。
日々の小さな習慣の見直し、そして積み重ねが、腸を健やかに保つカギとなります。まずはできることから始めてみませんか?

腰痛のときにはどのように対処すればいい?

執筆者: 郷 正憲(麻酔科医)
[記事公開日] 2023-05-20 [最終更新日] 2025-04-08
腰痛に悩まれる方は非常に多いです。実は日本人で、病院を受診される方の受診理由の第一位は実は腰痛で、多くの人が悩まされていることがよくわかります。この記事ではそんな腰痛がある時の対処法について解説します。
[ 目次 ]
腰痛のときにはどのように対処すればいい?

腰痛はなぜ起こる?

まず、腰痛はなぜ起こるのか考えて見ましょう。
腰痛には主に骨、筋肉や筋膜、神経のそれぞれが独立して、あるいは複合して関与します。この中で、画像検査をすることではっきり診断がつくのは骨による異常です。背骨のことを脊椎と言いますが、脊椎自体がゆがんだり、ずれたり、あるいは変形したりすることで痛みを発症してきます。また、脊椎の骨と骨の間にある椎間板が変形することでも痛みが起こってきます。骨による痛みももちろんありますが、脊椎の間には脊髄が通っています。脊椎がずれたり変形したり、椎間板が変形したりすると脊髄を圧迫して神経がダメージを受けることで痛みを生じます。これが腰部脊柱管狭窄症です。腰部脊柱管狭窄症の原因として、椎間板の異常である椎間板ヘルニアという病気や骨の変形である腰椎圧迫骨折、骨のズレである腰椎すべり症などの病名がつけられます。それぞれ痛み止めを飲みながら脊髄が圧迫されないように様々な対処が行われますが、神経障害が高度となってくる場合には手術が行われる場合もあります。
筋肉や筋膜の異常については、なかなか画像検査でははっきりしません。骨や神経の障害ではないことを確認した後に、筋肉や筋膜の異常であろうと推察をします。このとき、腰痛の起こり方によって急性腰痛と慢性腰痛に分類され、それぞれ対処が異なります。急性腰痛は筋膜や筋肉が損傷することで起こります。突然起こり、痛みで動けなくなることもよくあります。所謂ぎっくり腰で、魔女の一撃とも呼ばれます。一方で慢性腰痛症は、姿勢の異常や無理な姿勢を長時間維持する事で起こってきます。筋肉や筋膜が慢性的に疲労を起こしたりダメージがだんだんと蓄積したりすることによって、痛みが強くなってきます。両者が複合することもありますが、概ね経過からいずれかを判断し、対処を考えます。

急性腰痛の対処法

急性腰痛症は、組織がダメージを負ったことによって修復をしようと炎症反応が起こります。このとき、患部は熱感を持ち、動かすと強い痛みを感じます。このときには炎症を抑えてあげることで痛みが楽になってきます。炎症を抑えるためには後述の炎症を抑える痛み止めを内服したり、冷却したりすることが効果的です。湿布も冷シップが良いでしょう。痛みがあるうちは無理に動かしてはなりませんし、マッサージも逆効果です。損傷した組織を更に損傷してしまう可能性がありますので、痛みが強い間は患部を動かさないようにし、マッサージは行わないようにしましょう。
腰痛のときにはどのように対処すればいい?

慢性腰痛の対処法

慢性腰痛のさいには、多くの場合周辺の筋肉が凝り固まっています。この状態では、血流も悪くなります。凝り固まった状態を改善するためには栄養と酸素が十分にある事が必要ですが、血流が悪いとそれらの供給が滞り、なかなか良くなってきません。そのため、慢性腰痛の場合には血流を良くすることを考えます。具体的には、暖めることと、しっかり動かすことが必要になります。血管は温まると広がり、血流が多くなります。そのため、湿布を使用するなら温湿布です。また、しっかり動かすことによって筋肉が動き、さらに血流が良くなります。痛くて動かせないと言うのであれば、痛み止めをのんで痛みを抑えながら、ゆっくり動かしましょう。このときに急激に動かしてしまうと組織を損傷してしまい、治りが悪くなってしまう事があります。強いマッサージではなく、ゆっくりとしたストレッチがお勧めです。
腰痛のときにはどのように対処すればいい?

腰痛に効果のある痛み止めは?

腰痛の時には、NSAIDsという種類の痛み止めが効果的です。NSAIDsにはロキソプロフェンやイブプロフェンなどがあります。市販されている痛み止めのほとんどはこのどちらかが含まれています。頭痛薬や生理痛の薬として販売されている薬もこれらが含まれていますから、家庭にこれらの薬がある場合には使用しても良いでしょう。一方で、NSAIDsの問題点としては副作用が多い事にあります。NSAIDsを利用すると胃粘膜が荒れて胃潰瘍ができたり、腎機能が低下したりする事がありますので、これらの持病が元々ある場合には使用ができません。また、健康な人でも使用しすぎるとこれらの副作用がだんだんと出てきますので、注意が必要です。もし痛みが長期間にわたる場合や、痛みが非常に強い場合はアセトアミノフェンという成分を主成分とした痛み止めを定期的に内服するのがお勧めです。アセトアミノフェンは腰痛に対しての効果はNSAIDs程ではありませんが、定期内服する事で痛みを長期間にわたって抑えてくれます。また、副作用もほとんどありませんから安心して使用できます。アセトアミノフェンとNSAIDsの併用も可能ですから、アセトアミノフェンを定期内服しながら、痛みが強い時だけNSAIDsを利用するという方法も可能です。ただし、市販の痛み止めの中にはNSAIDsを主成分としながらアセトアミノフェンも配合しているものもあります。気づかずにその薬とアセトアミノフェンを併用してしまうとアセトアミノフェンが過量になってしまう場合があるので注意しましょう。もし痛みが強い場合は整形外科を受診して相談の上で痛み止めを出してもらう方が安心です。
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