ナンバーサプリのウィズメディカ倶楽部 vol.202401

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いよいよ注意!冬場の乾燥による健康トラブル

執筆者: 橘田 絵里香(形成外科医)
[記事公開日] 2023-11-27 [最終更新日] 2023-12-04
「寒い冬」と「乾燥」は常に隣り合わせ。起こりうる健康トラブルとその対策について、詳しく解説いたします。
[ 目次 ]
いよいよ注意!冬場の乾燥による健康トラブル

寒い冬は皮膚だけでなく体内も乾燥しがち

「寒い冬」と「乾燥」は常に隣り合わせといってよいかと思います。気候こそ、雪がふる日本海側と晴れて乾燥する太平洋側とでは、勝手が異なるかもしれませんが、
・暖房
・血の巡りが悪くなる
・夏ほど水分摂取しない
等も体内外の乾燥に関与しています。

こうした原因で乾燥することにより、さまざまな健康トラブルが生じます。
いよいよ注意!冬場の乾燥による健康トラブル

風邪をひきやすくなる

これは言わずもがな、ですよね。、鼻やのどの粘膜が乾燥することにより、粘膜のバリア機能が低下して感染症にかかりやすくなるわけです。風邪の原因は8~9割はウイルスによるものなわけですが、これらのウイルスは冬の低温で乾燥した環境で活発になる傾向があります。さらに、乾燥した環境だと何も障害がなく遠くまで飛散しやすくなります。

マスクによる肌荒れ症例は増えており、私自身、皮膚を扱う医師として、マスクがいかに皮膚によくないか、大いに実感しておりますにつき、実は自分も決してマスクをするのが好きな部類ではなく、クリニック勤務以外は使用しておりません。が、流石に冬はクリニック外でもマスクをした方がいいのかな、と思っています。
いよいよ注意!冬場の乾燥による健康トラブル

肌の乾燥によるかゆみや湿疹、ひび割れ、あかぎれ

まさに私の専門分野であります、こちらです。
みなさん、保湿クリームには頭が回ってらっしゃるのですが「落とす方」にとにかく頭が回らない。
「日本人って石鹸・洗剤好きすぎ」これに限ります。なぜまたそんな毎日毎日石鹸で体を洗わないと気がすまないのか? 夏ならまだしも、この乾燥している冬の時期に。あのう、そんなに汚れ、出ないですからね?? 石鹸の意義は殺菌、というところにありますが、皮膚には元々常在菌がおりますので、彼らを根こそぎ殺しても。逆に潤いが保てなくなってしまいます。手についた風邪ウィルスや腸炎のウィルスを殺菌するだけ足るのではないでしょうか。

あと、この時期増えてくる「手荒れ」。
美容師や飲食業など、されているのであればまだしも、ご家庭の炊事はお願いですから、素手ではやらないでください。ゴム手袋をしましょう。素手でゴム手袋は、それでも荒れる方がいますので、綿の手袋をしてからゴム手袋をしていただけるとさらに良し、です。取ったり外したりが面倒くさいのであれば、お皿はちょっとためておいて、まとめて洗っても、冬なら食中毒の心配は少ないと思います。

あかぎれの部分にカットバンを巻く方が非常に多いですが、逆効果です。綿のガーゼや包帯、指サックや手袋にしましょう。私の勤め先のクリニックでは、巻くときにテープがいらない、適度な長さに切って巻くだけで固定される「自着包帯」が大人気です。
いよいよ注意!冬場の乾燥による健康トラブル

乾燥と思いきや…意外と「湿ってる」部分にも注意!

冬の乾燥下でも「湿っている所」といえば、厚着をしている衣類や靴下の部分。なかなか意識が向かないでしょうが、知らず知らずに汗をかいているものです。
靴下が汗で湿っているまま、寒い外に出ると、しもやけの原因となってしまいます。朝や雨・雪で湿った靴下は可能であれば取り替えましょう。シルクの5本指ソックスの上からウールのソックスを履く重ね履きも、足がサラサラに保たれて、おすすめです。

「冬も脱水症状」に御用心!

前回も書きましたが、知らず知らずのうちに体内の水分が使われており、冬も脱水症状が起こりえます。喉が乾いてから水分の摂取、では遅いものです。喉の渇きとして自覚せずとも、指先の皮膚が乾燥している、手足が冷える、尿の色がいつもより濃いなどの症状があれば、水分が不足している可能性があります。夏と同様、こまめな水分摂取を心がけましょう。
寝起きも寝汗などの影響により水分が不足している時間帯です。「朝一番の白湯」は効果テキメンですので、ぜひ試していただきたいと思います。
いよいよ注意!冬場の乾燥による健康トラブル

肌や喉の乾燥を防ぐためには「冬場の入浴方法」がカギ!

浴槽に浸かるときは、胸元までとし、お風呂の温度も40度以下のぬるめに設定するようにしてください。どうしても、という時は、熱いお湯を体にかけるのではなく、シャワーで浴室に出しっぱなしにしてください。
石鹸の使用について、先ほども申し上げましたが、注意が必要な部分です。石鹸で洗いすぎても、洗わなすぎても、肌の健康を害すことになりますが、冬ともなると、洗わなすぎる、ということはほぼないです。
お湯で流すだけでも汚れの9割は落とすことができます。まずそんな毎日毎日石鹸の使用が必要かどうか、ご自身に問いかけてください。泡を使用する際には「肌にのせて流すだけ」、さすったり擦ったりは極力厳禁です。
保湿は「お風呂から出て5分以内」が大きなカギとなります。5分過ぎるか過ぎないかで、効果は大きく変わってきます。ぜひこの5分、意識してみてください。



以上、知っているようで知らない「冬場の乾燥による健康トラブル」詳しい原因や対策について、お届けいたしました。いかがでしたでしょうか。今からでも!予防できることはするに越したことは、ございません。対策してまいりましょう。

トランス脂肪酸の特徴や安全性などの不安について管理栄養士が解説!

執筆者: 中村友也(管理栄養士)
[記事公開日] 2023-6-12 [最終更新日] 2023-12-04
トランス脂肪酸はどんな食品に含まれているか、危険性が示唆されているが本当に危険なのか、危険な場合、一日にどの程度の摂取量にすべきかを解説。
[ 目次 ]
トランス脂肪酸の特徴や安全性などの不安について管理栄養士が解説!

油脂や脂肪酸の基本情報

あぶらには、サラダ油のように常温の時に液体で存在する「油」と、肉の脂身のように常温の時に固体で存在する「脂」の2種類があり、まとめて油脂と呼ばれています。
この性質の違いは、主に油脂を構成する脂肪酸によって決まっています。
脂肪酸の中でも溶ける温度(融点)が高い「飽和脂肪酸」が多い油脂は、常温で固形になりやすく、逆に溶ける温度が低い「不飽和脂肪酸」が多い油脂は、常温で液体になりやすいです。
トランス脂肪酸の特徴や安全性などの不安について管理栄養士が解説!

トランス脂肪酸ってどんなもの?

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の種類の1つです。
不飽和脂肪酸は、構造によってシス型とトランス型の2種類に分けられ、天然の不飽和脂肪酸の多くはシス型で、トランス型の脂肪酸は一部の食肉に含まれています。
天然にはあまり存在しないトランス脂肪酸ですが、シス型の脂肪酸を加工することによりトランス型にすることができます。

なぜトランス脂肪酸に加工する必要があるの?

シス型の不飽和脂肪酸を加工してトランス型にすることで、本来常温で液体となるはずの不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸のように常温で固体のままにしておくことができます。
その最たる例が、マーガリンです。
マーガリンは、元々植物性の油を原料に作られているため、本来であれば常温で液体になります。
しかし、油に含まれる不飽和脂肪酸をシス型からトランス型にすることで常温でも固体のマーガリンとして発売することが可能になっています。
このように、不飽和脂肪酸をトランス型にすることで食品の幅を広げることができるため、現在では様々な油脂の加工食品にトランス脂肪酸が含まれています。

トランス脂肪酸の特徴や安全性などの不安について管理栄養士が解説!

トランス脂肪酸を多く含む食品例

トランス脂肪酸は多く含む食品は、
・マーガリン
・ショートニング
・ファットスプレッド
などであり、これらを用いた洋菓子や揚げ物などにもトランス脂肪酸が含まれています。
また、植物や魚から取った油を生成する際にシス型の不飽和脂肪酸がトランス型になることもあるため、サラダ油などにも微量のトランス脂肪酸が含まれていることがあります。

トランス脂肪酸は危険?

トランス脂肪酸は、過剰摂取により心臓病のリスクが上がることがわかっています。
また、トランス脂肪酸は食品から摂取する必要がないと考えられているため、摂取を避けること自体は問題ありません。
ただし、トランス脂肪酸による健康への影響を調べた研究は日本人よりも脂質摂取量の多い欧米人を対象にしたものが多いため、脂質摂取量の少ない日本人で同じような影響があるかはわかっていません。
また、天然のトランス脂肪酸と加工してできたトランス脂肪酸では健康への影響が異なるのかどうかなども研究が進んでいません。
そのため、基本的に過剰摂取は避けつつも、規則正しい食生活であれば過剰にトランス脂肪酸を避ける必要はありません。

トランス脂肪酸はどのくらいに抑えるべき?

過剰摂取は避けたいトランス脂肪酸ですが、実際にどのくらいに抑えるべきなのでしょうか。
国際機関が提示した目標値では、トランス脂肪酸の摂取量を、総エネルギー摂取量の1%未満と設定されています。
日本人の平均的な総エネルギー摂取量は約1,900kcalのため、この1%となるトランス脂肪酸の量は約2gです。

日本人の平均トランス脂肪酸摂取量

欧米人よりも脂質摂取量の少ない日本人の1日当たりのトランス脂肪酸摂取量は、約0.92~0.96gと言われており、目標値である2g未満を下回っています。
そのため、通常の食生活をしている人であれば、トランス脂肪酸による健康への影響は小さいと考えられています。

日本でトランス脂肪酸削減のために行われていること

日本人の平均的な食事をしていれば、トランス脂肪酸の健康への影響は小さいと考えられていますが、食生活によっては目標値を超えてしまう可能性もあるため、日本でもトランス脂肪酸削減のための努力がなされています。
その最たる例が、食品事業者によるトランス脂肪酸の削減です。
近年、トランス脂肪酸を削減した商品の開発などが盛んにおこなわれており、消費者が無意識に摂取するトランス脂肪酸の量を減らす取り組みがされています。
ただし、この取り組みは食品事業者による自主的な努力なため、制度として定められているわけではありません。
そのため、トランス脂肪酸の摂取量を減らすためには、消費者側の努力も求められています。
日本人は健康に影響を与えるほどトランス脂肪酸を摂取してはいませんが、気になる方は自発的に調べて避ける必要があります。


目次9 まとめ

今回はトランス脂肪酸とはどういうものか、危険性はあるのかなどについて紹介しました。
健康へのリスクがあるトランス脂肪酸ですが、日本人の平均的な食事をしていれば考えすぎる必要はなさそうです。
気になる方は自主的に避けるよう努力しましょう。
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