夏に気をつけたい「日焼け」対策と治療法
執筆者: 橘田 絵里香(形成外科医)
[記事公開日] 2023-05-11 [最終更新日] 2023-07-02
[ 目次 ]
決して切り離せない「お肌の老化」と「日焼け」の関係
お肌のシミ・シワ・タルミといったお悩みに対し「年齢のせいだからしょうがない」「遺伝だから」などといった理由を出されることが多いのですが、実はこうした「内因性老化」「自然老化」の割合はわずか20%、つまり2割にすぎません。残りの8割のほとんどが紫外線による「光老化」であり、これはご自身の心がけ次第で防ぐことができることです。日焼けによる光老化の延長線上に皮膚がんというものも存在します。
しかし、これから楽しい夏休みを控えるなか「日光に当たらない」生活なんでできない、そうおっしゃる方もいるかもしれません。紫外線による光老化や皮膚がんを防ぐため、そして、日焼けしてしまった皮膚のダメージを最小限に保つため、できることはあるのでしょうか。
しかし、これから楽しい夏休みを控えるなか「日光に当たらない」生活なんでできない、そうおっしゃる方もいるかもしれません。紫外線による光老化や皮膚がんを防ぐため、そして、日焼けしてしまった皮膚のダメージを最小限に保つため、できることはあるのでしょうか。
夏だって乾燥に注意!
干し魚と生魚、火が通りやすいのは干し魚です。うっかり日焼けによる症状や後遺症を軽くするには、まずお肌の水分と油分のバランスをちょうど良く保つということ=「保湿」が大事です。
暑くて汗をよくかく方でも乾燥しているケースが多いです。冬に肌が乾燥していると感じられる方は、夏に乾燥を感じにくくとも、実はまだいまひとつ足りていない、というくらいの感覚でいるくらいが良いと思います。クーラーで体が冷えて新陳代謝が落ちていたり、汗を気にして石鹸を流しすぎていたりで、肌の乾燥はさほど改善されておらず、周囲の湿度が高いので若干救われているだけな方もいらっしゃいます。夏も保湿を怠らないようにしてください。
なお、保湿と申し上げると、化粧水や乳液・クリームなど「つけるもの」ばかり目が行きがちですが、洗顔やクレンジングなど「落とす方」も適切である必要があります。洗いすぎ、落としすぎの方、非常に多いです。本当に毎日全身の石鹸洗いが必要なのか、ご検討ください。ちなみに筆者はアトピー乾燥肌なので、体を洗浄するのに石鹸は一切使用いたしておりません。
暑くて汗をよくかく方でも乾燥しているケースが多いです。冬に肌が乾燥していると感じられる方は、夏に乾燥を感じにくくとも、実はまだいまひとつ足りていない、というくらいの感覚でいるくらいが良いと思います。クーラーで体が冷えて新陳代謝が落ちていたり、汗を気にして石鹸を流しすぎていたりで、肌の乾燥はさほど改善されておらず、周囲の湿度が高いので若干救われているだけな方もいらっしゃいます。夏も保湿を怠らないようにしてください。
なお、保湿と申し上げると、化粧水や乳液・クリームなど「つけるもの」ばかり目が行きがちですが、洗顔やクレンジングなど「落とす方」も適切である必要があります。洗いすぎ、落としすぎの方、非常に多いです。本当に毎日全身の石鹸洗いが必要なのか、ご検討ください。ちなみに筆者はアトピー乾燥肌なので、体を洗浄するのに石鹸は一切使用いたしておりません。
日焼け止めに物理的な日焼け防止策をプラス!
保湿がきちんとされていることを前提に、光老化の対策として、やはり一番大事なのは日焼け止めを使用することです。曇りや雨の日でも、秋や冬の寒い日でも、外に出る時は365日いつでも日焼け止めは欠かさず塗る必要があります。
が、しかし、人間であればどうしたって塗り忘れや塗りもれがありますし、汗や水で落ちてしまう日焼け止めのみではカバーしきれないことも多々あります。そうした場合に備えて、日焼け止め以外の日焼け防止手段を「併用」することが有効です。一つが物理的に紫外線をシャットアウトしてくれる、日傘、サングラス、グローブ、UVカット効果のある上着などです。これらだけでは不十分ですが、日焼け止めとの相乗効果により、効果を発揮してくれます。筆者は真夏でも手の甲まで隠れる長袖&フードがついたパーカーを着用致しております。日焼け止めを塗った上で、これらの物理的手段を併用としましょう。
なお、洋服を着ていれば日焼けしない、と思われている方が多いのですが、実は真っ黒でしっかりした生地のお洋服とかでない限り、UVカットのお洋服でなければ、紫外線は通してしまっています。夏は薄手&薄い色のお洋服を着られていることが多いかと思うので、服の下も日焼けはしています。確実に日焼けを予防するためにはUVカット素材のお洋服を上から羽織るようにしてください。
が、しかし、人間であればどうしたって塗り忘れや塗りもれがありますし、汗や水で落ちてしまう日焼け止めのみではカバーしきれないことも多々あります。そうした場合に備えて、日焼け止め以外の日焼け防止手段を「併用」することが有効です。一つが物理的に紫外線をシャットアウトしてくれる、日傘、サングラス、グローブ、UVカット効果のある上着などです。これらだけでは不十分ですが、日焼け止めとの相乗効果により、効果を発揮してくれます。筆者は真夏でも手の甲まで隠れる長袖&フードがついたパーカーを着用致しております。日焼け止めを塗った上で、これらの物理的手段を併用としましょう。
なお、洋服を着ていれば日焼けしない、と思われている方が多いのですが、実は真っ黒でしっかりした生地のお洋服とかでない限り、UVカットのお洋服でなければ、紫外線は通してしまっています。夏は薄手&薄い色のお洋服を着られていることが多いかと思うので、服の下も日焼けはしています。確実に日焼けを予防するためにはUVカット素材のお洋服を上から羽織るようにしてください。
さらに「飲む日焼け止め」をプラス!
「日焼け止め」やサングラス・日傘などの「物理的遮光手段」をかいくぐって日焼けしてしまった」ことによるダメージを最小限にしてくれるのがニュートロックスサン含有の「飲む日焼け止め」です。「飲む日焼け止め」とうたっていますが、実際は、体内に紫外線が入ってしまうのを防ぐものではなく、体内に紫外線が入った時に発生し、光老化への引き金となる「活性酸素」をお掃除する役割があります。そうすることにより赤みやヒリヒリといった症状を軽くしたり、そこからシミ・シワが発生してしまうことを防ぎます。注意点としては、日焼けする時に飲みに内服しても、効果が100%は発揮されないこと。最大限の効果を得るためには1ヶ月飲み続ける必要があることです。7月から飲み始めるのでも、一番紫外線が強い8月に間に合わせることは、十分可能です。飲めば日焼け止めは塗らなくてよい、というのではなく、あくまで日焼け止めを塗った上での併用が前提、となりますので、くれぐれもご注意ください!
それでも「焼けて」しまったら
日焼けしたて、赤み・痛みや、時に水ぶくれを生じている場合は「やけど」と同じく、まずとにかく冷やしたあと、痛みがひどい場合は皮膚科を受診してください。塗り薬でも良いのですが、広範囲の日焼けにはステロイド含有のスプレー剤がおすすめで、外来でもよく処方しております。やけどと異なる点は、一部の紫外線が皮膚を通過し、体内に入り、ストレス物質である活性酸素を発生させていること。日焼けしたあとだるく感じるのはこのためです。ゆえに、水分をきちんと摂って、休養してください。痛くて眠れない場合は市販の痛み止めも有効です。
赤みや痛みを乗り越え、しばらく時間が経ったあと、生じたシミやシワ・タルミについては、医療保険が適応されない、いわゆる自費診療=美容皮膚科の出番となります。シミにはレーザーが有効なものと、肝斑のようにレーザーは好ましくなく、内服やシミ取りクリームの外用が有効なものと、きちんと診断して区別することが大切になってきます。シワやたるみに対する治療にはレーザー、ラジオ波、コラーゲンやボトックス注射などが該当してきます。筆者個人的には保険診療もやっている美容皮膚科さんがおすすめですと申し上げております。ぜひ受診を検討してみてください。
赤みや痛みを乗り越え、しばらく時間が経ったあと、生じたシミやシワ・タルミについては、医療保険が適応されない、いわゆる自費診療=美容皮膚科の出番となります。シミにはレーザーが有効なものと、肝斑のようにレーザーは好ましくなく、内服やシミ取りクリームの外用が有効なものと、きちんと診断して区別することが大切になってきます。シワやたるみに対する治療にはレーザー、ラジオ波、コラーゲンやボトックス注射などが該当してきます。筆者個人的には保険診療もやっている美容皮膚科さんがおすすめですと申し上げております。ぜひ受診を検討してみてください。
日焼けによる皮膚がんが心配です
といって、体にできた「黒い部分」を見せにくる方が多いのですが、実は日焼けで生じる皮膚がんは黒くなく「赤いカサカサ」から始まるケースが多いです。皮膚がんといわれるとイメージされるのが悪性黒色腫(メラノーマ)でいらっしゃるかと思うのですが、実は皮膚がんに多いのは有棘細胞癌や基底細胞癌で、必ずしも黒いとは限らず「赤いカサカサした湿疹みたいなもの」から始まります。皮膚がんは鼻や頬に多いのですが、こうしたよく陽に当たる部分の赤いカサカサした部分が、保湿しても、湿疹の薬を塗っても、いつまでたっても取れない場合は、要注意です。赤いカサカサは2週間で取れなければ、すぐに皮膚科を受診してください。湿疹の場合も多いですが、中には早期の皮膚がんである「日光角化症」なケースも決して少なくはありません。
もちろん、だからといって、黒くて気になる部分はスルーして良い、ということではありません。良性の老人性いぼ=脂漏性角化症であることが多いですが、中には基底細胞癌の黒くなるタイプや、もちろんメラノーマ、ということも皆無ではありません。気になるところは皮膚科専門医にご相談ください。
もちろん、だからといって、黒くて気になる部分はスルーして良い、ということではありません。良性の老人性いぼ=脂漏性角化症であることが多いですが、中には基底細胞癌の黒くなるタイプや、もちろんメラノーマ、ということも皆無ではありません。気になるところは皮膚科専門医にご相談ください。
以上、この時期知っておきたいうっかり日焼け予防と対策について、お届けいたしました。それでは皆様、楽しい夏を過ごすことができますように!